「与える側の経験」をしてもらいたい

地域でキラリ☆な人を取材!
びーんずメイトVol.6 「ツキイチレストラン」
山本さち子さん

JR南武線・武蔵新城駅南口のカフェ
「メサ・グランデ」が、その日だけ
子どもたちが運営するレストランに変身――。

小学生から中学生までの
子どもたちのための職業体験レストラン
「ツキイチレストラン」は、準備から調理、
片付けまでを子どもたち自身が担当します。

主催されているShip代表の
山本さち子さんにお話をうかがいました。

ツキイチレストランで賑わう店内

――山本さんがShipを立ち上げてから一年。以前はフリーのカメラマンとして結婚式場でお仕事をされていたそうですね。

最初はOLをしていたんですが、満員電車がキツくて(笑)。やっぱりOLは無理だと思って、夜間の写真学校へ通いました。アシスタントから始めてカメラマンとして独立したのは30歳のときですね。

ship代表 山本さち子さん

その頃、そろそろ子どもが欲しいなと思ってたんですけど、なかなか授からなくて……。不妊治療をして、息子が生まれたのが35歳のときでした。

もう嬉しかったですね!

私はなにをしにこの世に生まれてきたんだろう? って昔からよく考えていたんですが、子どもができたときに、「あ、なんだ考えることなかったじゃん」って。私が生まれてきた意味はこの子を産むことだったなって(笑)。

――もう全身でそう思えたんですね。 山本さんが今のご活動をされる元になっているのは、そのお子さんとの関係からだと以前うかがいました。

息子は発達の面ではすごく凸凹しているんですけど、頭はいいと私は昔から思っていたんです。

でも息子が小学校三年の時に、通級(通級指導教室)に行ってくださいって担任の先生から言われたんです。他の子は通常の学級で学んでいけるけど、あなたのお子さんは学んでいけないからって。才能はあるのに、できないところばかり見られる。それなら、その才能がある所を私が伸ばしてあげて、先生を見返してやりたいとすごく思ったんですよね。

それで、中学受験をさせようと思ったんです。そこからが地獄でした。

――地獄……。

息子のほうが地獄だったと思うんですけど。本格的に進学塾に行かせてから半年で息子は鉛筆を噛み続けたり、チックの症状も出てきて。

塾の宿題がどんどん出されるんですが、やってもやっても終わらない。私も「終わったら次これ! 遅い遅い、もっと早く!」みたいに急かして。本当に息子を追い詰めてしまったんです。

信頼関係を築き直して再出発

そんな状況を見ていた主人から「受験はやめよう」って。私は心療内科に行くことを勧められました。

そこからはもう本当になにもないところからの再出発でした。息子との信頼関係を築き直すところからのスタート。息子も「あの時はこんなに辛かったんだ」っていうことをだんだん私に言うようになってきて。ああ、ごめんね、本当に悪かった、本当にごめんって。当時は息子と毎日、話してた気がしますね。

――そういう時間をずっと過ごされて。

はい。ただ小学校六年のときの先生と、中学の先生にはすごく恵まれて。通級に行ったことも実はすごくよくて、考え方とか、人との関係のつくり方とかも学ばせてもらいました。

与える側の経験をしてもらいたい

“ツキイチ”の由来は月に一回の開催を目指していたから。 「やってみたら、月一は無理じゃん!と(笑)。 今は3ヶ月スパンです」

私自身、振り返ると「将来何になりたいの?」って親や先生に聞かれたときも、ぜんぜん考えられなかった。

ただ「やりたくないこと」はすごくあったんです。やりたくないことはやらない(笑)。私は就職して「やりたくないこと」がわかっていった感じです。

――最初から「これが好き」とか、「やりたいこと」がわからなくても、「やりたくないこと」を削ぎ落としていったら、残るものがあるんじゃないの? っていう……。

息子もやりたくないことを無理やりやるのは難しい子だから、自分で何かできるようになるといいな、と思ってました。

でも自分でなにか立ち上げてやってみたらって、言うのは簡単だけど難しい。それならまず私自身がやってみよう、と。人に言うなら自分から始めようと思って、それでこの活動を始めた感じです。

あとはやっぱり根本にあるのは、子どもたちに社会から「ありがとう」と言ってもらえる経験をしてもらいたいということ。与えられる側だけでなく与える側の経験をしてもらいたい、という思いがあります。

うちの子も毎回すごく楽しみにしていて、学校の調理実習でも自信満々に言ってるらしいんです。「自分は料理ができる。なんてったってレストランをやっているんだから」って(笑)。

そういう子がいる限り、続けていきたいなって思います。

注文を取ることから、調理、盛り付け、配膳、そして片付けまで。文字通り、レストランの仕事を子どもたち自身で「体験」する。

――自信につながるんですね。

レストランでは結構ハチャメチャなんですけどね。あ、あそこに料理出すの忘れてた! とか。

でも子どもたちも、食べに来てくれるお客さんも、みんな私が好きでやってることに協力してくれて成り立っていて……。本当にありがたいなあ、と思っています。

 

◆次回開催予定:2020年2月27日(木)18:15〜20:00(要予約)

ツキイチレストラン
・活動日;不定期(目下3ヶ月に一度開催)
・活動時間:18:00〜20:00
・メニュー・料金;コース料理1500円 プチデザート・飲み物付き(要事前予約)
・住所:川崎市中原区新城5-2-13  メサ・グランデ(武蔵新城駅徒歩2分)
・連絡先: shipmentor.s@gmail.com

金子(A)

 

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不登校インタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』Vol.10

学校へ行かずにいると、将来どうなるの?
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もちろん、そこに正解なんてありません。
世の中の多くのものごとと同じように。

でも、
いろんな例を見聞きし、知ることができれば、
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そんな思いから
自らも息子の不登校を体験した親である
びーんずネットの二人が、不登校をテーマに
インタビュー事例集を作成しました。

不登校・ひきこもりを経験した人。
その保護者。
子どもたちに寄り添う人。
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そんな七人七色の「雲と青空」を、
丹念に取材してまとめました。

雲を抜けた先には、
いつも青空が広がっている――。

ぜひ、ページを繰って、
あなた自身でそれを確かめてみてください。

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