「考えること」に自信が持てる学び方を

地域でキラリ☆な人を取材!
びーんずメイトVol.26
学びのサポートルームludo」上田志穂さん

少人数制の対話型学習で、
子どもたちの学びを支援している
「学びのサポートルームludo(ルード)」
(神奈川県川崎市)。

「もともと学ぶことは、
それ自体がとても楽しいことのはず」

と語る主宰者の上田志穂さんに、
子どもたちそれぞれに合った
「学び方」の探し方や、
ルードに込めた思いをうかがいました。

職業体験に来た近所の小学生たちが書いてくれたルードの感想

――ルードは「 学びのサポートルーム」として、幼児教育、学習支援、フリースクールの3つの柱で開いているのですね。

以前から学習塾をやりたいと思っていたんです。学校の学び方に合わないからといって、勉強ができないわけじゃないことを伝えられる場所ができればと思って。

うちの息子も学校やいわゆる塾のやり方に合わないタイプで、ずっと私と一緒に勉強してたんです。息子は学校でノートを取れないわけではないけど、「取ったノートは絶対見ない」っていう子で(笑)。授業で聞いた内容を、とにかく私にしゃべりながら考えを整理して理解を深めるんです。「こんなことを先生が言って、そのとき自分はこう思った」って私に全部しゃべって振り返るっていうのをやってきたんです。

学びのサポートルームludo主宰・上田志穂さん

――息子さんのような「自分に合う学び方」をサポートするために開設された。

そうですね。最近ちょっとずつ話題になってると思いますけど、不登校に実は「学習」が大きな原因になっていると。私は前から本当にそう思っていました。

学校ってあたり前のことなんですけどほとんどが学習の時間なんですよね。もちろん友達とも会えますけど、ほとんどが学習の時間なんです。

それで、学校の学び方に合わない子がそこに六時間もずっと身を置いていたら、それはしんどいに決まってるんじゃないかと思って。その理由だけで学びがイヤになってしまうのは本当に残念なことなので。

――実際に通って来られるお子さんは、どんな様子ですか?

「わからない」ことに慣れてない子も多かったように思いますね。すぐにわかりたくなる、答えを教えてもらいたくなる。「先生の答えを教えて。それが正解なんでしょう?」って。

私がやってる「論理国語」は答えを覚えるのではなく、たとえば「鶏」、「ヘリコプター」、「鳩」、「雀」の絵を見せて、これを仲間と仲間じゃないのにわけようという場合、一般的にはヘリコプター以外の三つが仲間になると思いますよね。でもよく考える子、考えることを面白がって楽しめる子だったら「鶏が仲間外れで、あとが仲間だ!」って答えるんですよ。

「なぜ?」からはじめる少人数制の対話型学習。講師の上田さんと対話しながらその子に合った学び方を探していく。

子どももだめ出しされたくない

親御さんたちや先生は、「間違うことは恥ずかしくないよ」と子どもたちによく言うと思いますけど、私はもう一歩進んで「間違ってると思ってることは間違いじゃないかもしれないよね?」と伝えています。

さっきのヘリコプターと鶏の話も「ちょっと考え直してみようよ」じゃなくて、「確かに鶏は仲間じゃないと考えることができるよね」っていうことですよね。

それをやっていくと、子どもは自分が「どう考えたか」に対して自信が持てていく。考えることに自信を持つと言うのかな? 「間違ってもやり直せばいいよ」というスタンスで声をかけると、子どもも間違いを認めたくないので――子どももだめ出しはされたくないんです。

大人が「正解に沿わせるには、どうしたらいいか?」という発想でやっていくと、子どもたちはイヤですよね。だって自分のはみ出てるところや、違うところをギュッて型にはめられる感じがするから。「はみ出たり、違うこと自体が面白い」っていうふうに大人が向き合うと、どんどん自己開示してくれるようになります。

丸暗記ではなく『文字(つづり)と音の関係』から楽しく英語の読み書きを学習する「ジョリーフォニックス」も行っている。

子どもは真っ白い紙ではない

あとは「勉強ってイヤなことだと思うんですけど」という前提を持った親御さんは多くて、「イヤなことでもできるようにするにはどうしたらいいですか?」と仰るんです。だけど「イヤなことはやらなくていい」が私のスタイルなので(笑)。

「まずはイヤかどうかを確かめてみよう」から始めてもいいのかなと。勉強が本当に嫌いかどうか、何をイヤと思ってるのか。

――子ども自身もまだよくわかってない?

そう思います。イヤという気持ち自体に向き合ってみたり、ちゃんとひも解くと違う原因がもしかしてあるかもしれないし。

わかりやすい例ではディスレクシア(※)のお子さんなんかは特にそうかもしれないですよね。学ぶこと自体はイヤじゃない。でも読むことにすごく負荷があって忌避感を持ってる子は、丁寧にひも解かないとわからない。それを「気の持ちようだよ」みたいなことを言われたらキツいですよね。

※読字障害。文字の読み書きに限定した困難があり、そのことによって学業不振が現れたり、二次的な学校不適応などが生じる場合もある。

先生って言われる方たちには、子どもは「真っ白い紙」で、そこにいいことをいっぱい書いてあげれば学びになると思っている方がすごく多いんですけど、実は紙は全然白くなくて。もうすでにそこにはいろんなことが書いてあるんです。

その子が何を持っているのかを見ないことには、学びは入っていかないし、習得もしていかない。

それぞれの子どもが違ってること自体があたり前だっていうこと。それは能力差があることも含めてなんですけど、能力差があることと、いわゆる人としての価値は全然違う。そういったことを、ここで伝えていけたらいいかなと思っていますね。

ラテン語で「遊び」を意味するludo(ルード )。本来の意味に立ち返り、ひとりひとりに合ったサポートを目指している。

学びのサポートルームludo
〒211-0025 神奈川県川崎市中原区木月 4-10-6
<幼児教育・学習支援>
平日14:00〜18:30 土曜10:00〜15:00
<フリースクール>
平日10:00〜12:00
週1回(月4回)から利用可・他プログラムと併用可

金子(A)

 

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不登校インタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』Vol.10

学校へ行かずにいると、将来どうなるの?
学校に行かなくてほんとうに大丈夫なの?

もちろん、そこに正解なんてありません。
世の中の多くのものごとと同じように。

でも、
いろんな例を見聞きし、知ることができれば、
不安を和らげるのに役立つのではないか。

そんな思いから
自らも息子の不登校を体験した親である
びーんずネットの二人が、不登校をテーマに
インタビュー事例集を作成しました。

不登校・ひきこもりを経験した人。
その保護者。
子どもたちに寄り添う人。
そして自分の学びを実践した人。

そんな七人七色の「雲と青空」を、
丹念に取材してまとめました。

雲を抜けた先には、
いつも青空が広がっている――。

ぜひ、ページを繰って、
あなた自身でそれを確かめてみてください。

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