学びを発見して生きる力を身につけてほしい
地域でキラリ☆な人を取材!
びーんずメイトVol.5「あらぐさ教室」
川上邦明さん、種岡純也さん
JR南武線、武蔵中原駅南口
改札からすぐの住宅街。
緑におおわれた趣きのある古民家に、
学びとフリースペースの
「あらぐさ教室」はあります。
子どもたちの学習支援の他に、
子ども食堂や映画の上映会など、
長年にわたり幅広い活動を
続けてきたあらぐさ教室。
その中心となるスタッフのお二人に、
子どもたちの居場所への
思いをお聞きしました。
――あらぐさ教室は三十七年間も続く老舗のフリースペースとのことですが、ずっとこの川崎で続けてこられたんですか?
川上さん ここは三か所目ですね。今のこの場所へ来てからは今年で四年です。
種岡さん あらぐさ自体は、最初は学童保育が終わってから子どもたちの居場所がほしいという親御さんからの要望があって始まったんです。
僕はもともとここの生徒だったんです。
中一の時からですね。二十年くらい前になるのかな?
本格的にここのスタッフになってからは七年くらいですかね。社会人になって最初は別の仕事で子どもとかかわっていました。そのうちに今の子どもたちの置かれている状況がわかってきて。
僕も以前、学校に行ってなかったんですが、むしろ今のほうが苦しくなってるんじゃないかって思ったんですよね、子どもたちが。
それからですね。学校だけじゃもうダメなんだろうなって思って。川上さんとは前々から面識がありましたので、教育に関することとか、子どもたちに関することとかいっぱい話して……。じゃあ一緒にやっていこうっていうことで、今に至るっていう感じです。
あらぐさの子たちに出会って
種岡さん ここにいる子どもは今は少ないんですけど、僕が通ってたときはすごくたくさんいたんですよね。この部屋に収まりきれないくらいいました。
僕はその子たちに出会って学校に行かなくなった派なんです。あ、ここのみんなは楽しそう! と思って(笑)。
――そんなに楽しそうだったんですか。
種岡さん 学校に行っていない子たちが同学年でたくさんいて、めちゃめちゃ楽しそうにしているわけです。学校に行ってないってことをぜんぜん気にしてない。
そこからここが僕の居場所になって。
だからまあ――無い物ねだりじゃないですけどね、今の子にもそういう経験をしてもらいたいっていう気持ちもありますね。
――今、あらぐさに来ているお子さんで、学校に行ってないとか、行きづらいとか、そんなお子さんはいますか?
川上さん つい二週間前から学校に行っていない子がいます。
これまでは我慢して行って、ときたま休んでた。ただ、なんで休んでるか、親御さんはわからなかったらしくて。
お母さんから突然、僕の自宅に電話がかかってきたんです。「今週から学校に行ってません、どうしたらいいでしょう?」と。
いいじゃないですか、って。
親は一生懸命行け行けって言う。学校の先生も来い来い言ったり、訪ねてきたりね。
子どもにはそれが辛いんだけども、いいよ、ここに来ればって。別に学校は行きたくなければ行かなくたっていいよって。
学校とは違うことをする場所
川上さん そういう対応は僕らは自然にできるんですね。
あっちこっちに社会勉強しに行こうよって。もっと視野を広げてね。そうすれば学びたいっていう気持ちもわいてくるかもしれない。ある意味、学びからは完全に逃げちゃってる状態だから。
種岡 思えば僕らの世代も「逃避」してました。あらぐさが居場所なんだけど、勉強からは逃避してる。
やっぱり「やらされてる感」がすごく強かったんです。あらぐさでは学校と同じことはやりたくない。自分は自分でいたいっていうのがすごく強かった。
今ここにきてる子たちもそうですね。
たぶん学校で演じてるのとは別の世界をここで見せてるんで。
昔、僕らも「あらぐさでは学校と同じことをしないでほしい」って言ってました。それは今も一致してるなと思いますけどね。
川上さん 学校と同じように、問題出してプリント出してじゃなく、ね。
――それよりも自分の頭で考えて、自分の学びをできるように、ということですね?
川上さん 例えば泥団子なんかもそうだけど、手を動かしたりする中で学びを発見できればいいなと思ってます。
そういうことと、座学でやることが相乗効果になるような化学反応がどこかで起これば、と。
親御さんによく聞かれるんです。どうしたら子どもが勉強するようになりますか? いつになったら勉強やりますか? って。
そんなことはわかりません、って答えてます(笑)。
いろんなものと接する中で「生きる力」を身につけることを追求したほうがいい。今すぐできるわけじゃないし、もしかしたら二十歳すぎになるかもしれない。
マニュアルなんてものはないんです。
泥団子と一緒ですよ。やっている中で偶然光るものが出てくるんだと思います。
あらぐさ教室
・活動日;月、火、水、木、金
・活動時間:19:00~21:00
・対象年齢;10歳~
・住所:神奈川県川崎市中原区下小田中1丁目5−1
・連絡先: 044-751-0241
金子(J)
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不登校インタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』Vol.10
学校に行かなくてほんとうに大丈夫なの?
もちろん、そこに正解なんてありません。
世の中の多くのものごとと同じように。
でも、
いろんな例を見聞きし、知ることができれば、
不安を和らげるのに役立つのではないか。
そんな思いから
自らも息子の不登校を体験した親である
びーんずネットの二人が、不登校をテーマに
インタビュー事例集を作成しました。
不登校・ひきこもりを経験した人。
その保護者。
子どもたちに寄り添う人。
そして自分の学びを実践した人。
そんな七人七色の「雲と青空」を、
丹念に取材してまとめました。
雲を抜けた先には、
いつも青空が広がっている――。
ぜひ、ページを繰って、
あなた自身でそれを確かめてみてください。