不登校の“その先”を見すえた支援を

不登校の“その先”を見すえた支援を

びーんずメイトVol.46
フリースクールみらいのたね
伊ヶ崎大樹さん

京都市でフリースクールと
子どもたちの学習支援をおこなっている
一般社団法人子どもの応援団TEIEN。

「自分はここにいていいんだ」

という安心感を一番のベースに、
子どもたち一人一人の思いを
最優先した居場所を目指しています。

代表理事の伊ヶ崎大樹さんに
お話をうかがいました。

子どもたちの「やりたい」を優先! 暑い日はみんなで川遊びも。

 

――フリースクール「みらいのたね」の一日はどんな感じなんですか?

10時からみんなが集まり始めて、 11時ぐらいから勉強を少しして、あとはもう自由時間みたいな感じです。フリースクールといってもいろんなタイプがあると思うんですが、「みらいのたね」は仲間や友達づくりを一番のベースにしているコミュニティという感じ。通う場所がある、行ける場所がある、という居場所ベースです。「自分はここにいるんだ」「ここの仲間なんだ」という認識づくりを第一にしています。

情報はあまりオープンにしてないので、ここへくる子は基本的にほぼ紹介です。理事の池添素先生からだったり提携している高校からだったり……保護者さんが調べてたまたま見つけて、というのはほぼないですね。高校や福祉の相談機関とも提携して、紹介を受けるようにしています。

――伊ヶ崎さんは以前から不登校支援に関心があったんですか?

僕が高校生のころ、三つ違いの弟が行きしぶっていたのもありますけど、大学生のときに始めたオンライン塾に不登校の子が多かったんです。それが一番のきっかけですね。

一般社団法人子どもの応援団TEIEN 代表理事 伊ヶ崎大樹さん

やりたいけどできないことのしんどさ

僕は立命館大学の理工学部を中退して、心理学を学びたくて佛教大学の教育学部に編入したんです。そのころに塾で出会った不登校の子どもたちから「やりたいと思ってるのにできない」「なんで私はできないんだろう?」という話を聞くようになって、不登校自体の解像度が上がってきたというか。

でもそういうのって身内からは見えないんです。当時は不登校は悪だと思っていましたから。関心もなかったし、むしろ敵対視してました。

――「不登校は悪だ」と。

両親は困った顔をしていましたし。弟とは寝室が一緒で、僕が高校から家に帰ってきて夜に頑張って受験勉強してるのに、隣で僕の睡眠を妨げるユーチューブ動画を見てたのはかなりムカつきましたよね。「だったら学校行けよ」と。「家にずっといて疲れてないからこんな時間まで起きてるんだろ?」と思ってました。

でも当事者の声を聞くとそうじゃない。何もしてないから疲れていないわけじゃない。むしろ何もしてない間って脳をフル回転させて悩みをぐるぐる回さないといけないし、脳ってハイスペックすぎてフル稼働しちゃうので、アウトプットしないともうそれだけで気力がなくなっていく。

外に出たくても、出ようとすると周囲の目が気になる。こんな時間に外に出てたらどう思われるのかと考えちゃうとか。やりたいと思ってるのにできないことのしんどさを当事者の声から知りましたね。

自由時間にゲームをする子。「みらいのたね」には特に時間割はない。一人ひとりがやりたいことに取り組む時間を大切にしている。

――伊ヶ崎さんが今まで出会ってきた中で特に印象深いお子さんはいますか?

以前かかわっていた不登校の中学生の子ですけど、当初は昼夜逆転もすごいし、鉛筆すら持てない状態だと保護者さんから聞いていたんです。

環境と気持ちが整ったら解決していく

でも本人の中で目指したい目標があって、心の基盤が整っていくとだんだん変わっていくんですよね。

部活動では活躍していたので、強豪校の高校に行くために頑張って勉強も始めたんです。そうすると生活もどんどん整ってきて。今では親元を離れて寮生活で、早起きもするし自分のことは全部自分でやるようになったそうです。やっぱり環境と本人の気持ちが整ってきたら問題は解決していく。まさにその現れだなと感じましたね。

「みらいのたね」と併設の個別最適化学習支援「まなびのたね」では、個々の特性に合わせた学びを提供している。

――フリースクール「みらいのたね」とあわせて、個別最適化学習支援の「まなびのたね」も運営されていますが、今後の展望を教えてください。

その場その場の対応じゃなくて、見通しを持った支援を続けていきたいです。課題の先送りをしても、その先送りしたぶんの取り返しは僕らも一緒にしていく。そういう長いスパンでの支援です。「不登校になりました。じゃあ今は安全をつくりましょう」の“その先”もあるのが理想かなと思っているので、それを目指していきたい。そしていつでも戻ってこられる場所にしたいですね。小中高だけじゃなくて、大学生になっても社会人になってもここに戻ってきてほしいし、「卒業してもいつでも僕らの仲間だよ」と。ずっと同じ人がいるからこその居場所づくりをしたいなと思っています。

あと、「まなびのたね」に来ている子たちにはよりリアルな進路を感じてほしいんです。なので見守り支援の大学生スタッフには「ここで大学の課題をやっていいよ」と話しています。大学生はアルバイト中に大学の課題もできるし、まなびのたねの高校生たちは「あ、大学の課題ってこんなものなんだ」と実際に知れる。お互いウィンウィンですしね(笑)。ゆくゆくは、高校生が卒業したらうちでアルバイトしてもらう循環にしていきたいなと思ってます。

子どもたちに合わせて今と将来を見据えた長期的なかかわりを目指す。伊ヶ崎さんとスタッフで理事の戸田悠斗さん(右)。

フリースクールみらいのたね
住 所 京都府京都市北区北野紅梅町85-403
日 時 毎週 月・火・木・金 10:00~15:00
対 象 小学生〜中学生
利用料 12,000円/月(週2)〜24,000円(週4)
※基本的に別途入会金・会費が必要な会員登録が必要

金子(A)

 

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