目指す未来を「体感」できる学校

びーんずメイトVol.37
WING SCHOOL代表理事
田上善浩 さん

2018年に熊本県熊本市に開校した
小中一貫オルタナティブスクールの
WING SCHOOL(ウイングスクール)。

全国から視察に訪れた人たちは
子どもたちのあふれる笑顔と
元気の良さに驚くといいます。

「ここからうねりを起こして
公立学校に影響を与えたい」

と話す「善さん」こと田上善浩さんに、
その思いをうかがいました。

体感と観察から様々なことを学ぶWING SCHOOLの子どもたち

――ウイングスクールが開校してこの春で8年目。生徒さんも増えて、今度新校舎ができるそうですね。

新年度の4月入学生を含めて110人で、そこからまた増えていくと思います。今は小学1年生から入ってくる子が一番多いんです。親御さんが「こういう教育がいい」という意識があって最初から選ばれる。うちは親子で希望しないと入れないスクールなんですが、小さい子ほど体感したら早いです。水を得た魚じゃないですけど、「ここがいい!」みたいに、言葉にしなくても表情や態度にあらわれますね。

ここからうねりを起こしたい

うちのスクールでは不登校だったとか、何か診断を受けているとか一切関係なく、たとえばオーガニックレストランには食物アレルギーがある人だけでなく健康志向のいろんな人がくるように、「その子がここでおいしく食事ができるのかどうか」だけを見ている感じです。

学校をレストランにたとえるとわかりやすいんですが、辛いのが苦手な子を辛い料理を出す中華レストランに無理矢理行かせるのは「しつけ」でもないし、その子のためにもならない。和食なら喜んで食べるとか、オーガニック食なら食べるとか、レストランを選べることが大切で。学ぶ場所の選択肢が今まさに必要なんです。だから一旦、オルタナティブスクール的なうねりを起こす必要があるかなと。

WING SCHOOL代表理事・校長 田上善浩さん

――善さんは元学校の先生なんですよね?

29年、公立中学校の英語の教員をしていました。公教育ってもっと素敵な子どもたちが輝く素晴らしい場所になるんです。今の文部科学省の学習指導要領、教科書、受験制度のままでも相当いける。実際、行った先々の学校で自分なりに実践できていたんです。でも転勤があるので――長年積み上げてきても、「これは60で退職しても何も残らんぞ」と思って、拠点をつくってしまおうと。教育界に貢献するというか、ここからうねりを起こして公立学校に影響を与えていきたいんです。なので学校、教育委員会、行政、市長さん、町長さん、教育長さんと「一緒になかよくやりましょう」と連携しながらやっています。

まだまだ世の中はこの手のスクールに通う子って「かわいそうな子だから配慮してあげなきゃ」みたいな風潮がありますけど、いやいや、こっちがリーダーですよと。

うちでは「感性」「知性」「創性」と言っているんですけど、居場所って感性的なものなんですよ。そのレベルだけで終わっちゃうと、次の居場所に行ったときに「あそこは居心地よかったけどここはつらいなあ」と子どもたちはしょげちゃう。そこに人として必要な「知性」だったり、あるいは自分の夢を実現するのにつながる「創性」――造語ですけど、プロジェクト力ですね。自分で企画しちゃうところまでいくと、行った先でプロジェクトリーダーにもなれるし、その場を自分で変えていけるようになるから大丈夫なんですよ。

異年齢での関わりを大事にしているため、クラス分けは低学年・高学年・中学生の3つのみ。授業やイベントもこの単位で行う。

実際ここを卒業した子が高校に行って学級委員になったり、生徒会長になったり、代表に選ばれて海外に派遣されたりして、活躍しているんです。イノベーターなんですよ。だからこの「大いなる勘違い」をもひっくり返していかないといけない。そのためにいろんな機会をとらえて子どもたちの姿を見に来てもらったり、声を聞いてもらったりしています。止まらぬ思いで(笑)。

――学校の先生も来られますか?

来ます。実は休職中の先生も何人か来られるんですよ。でもそういう先生たちがここで過ごしていると、100パーセント、たいてい初日から元気になるんです。

もっと子どもたちや先生たちにこういう教育を見てほしいですよね。「こんな学校があるんだ!」と思うだけで、入校しなくても心が広がって元気になる子もいる。先生たちも「え? 怒鳴らなくてもいいんだ。子どもたちって本当に成長していくんだ」とか、メイクしてる子を見ても「あ、でもこれは非行じゃないんだ」とか。むしろその分野で個性を伸ばしていって、子どもがそういう仕事につくイメージができるようになる。「体感」できるんですよね。体感できた人は強いんですよ。聞いていた「理屈」とは違うものが流れ込んでくるから。

小6の修学旅行はスキー! 子どもたちが計画から実行まで行うのはもちろん、旅費を自分たちで稼ぐことにも挑戦した。

あきらめの目から探す目になる

おそらく世の中のほとんどの人が「体感にもとづく選択」をしていないんです。進路選択でもとりあえず高校の普通科、とりあえず大学、とりあえず就職が多くて。

このスクールでは子どもたちが修学旅行の行き先を決めて、自分たちで稼いだお金で行くんです。そうすると「こんなにやれるんだ!」と無気力からも脱出できる。あきらめの目から探す目になるんですよね。

子どもも大人も目指す未来を体感できる。その小中学校がここなんです。

その体感を持って世の中を変えていく人――春をつくる緑の芽みたいな若者たちがここで育っていく。多くの人は花が咲いて初めて春だと気づくんですよね。でも今、冬の枯れ木に見えるかもしれないけど、脈々と暖かさを感じて緑の芽は育まれている、そんな段階かなと思っているところです。楽しみですね。長生きしなきゃと(笑)。

一人一人が自分らしく輝く新しい時代へ向けて、「感性」「知性」「創性」という幸せな未来を築く力を身につけていく。

WING SCHOOL(ウイングスクール)
住所:〒862-0941熊本県熊本市中央区出水1丁目7-51
日時:平日(月〜金)9時〜15時30分
利用料:入学金 110,000円(税込)
授業料・教材費・管理費・給食費68,200円/月(税込)
問合せ:096-327-8567 info@wingschool.jp

金子(A)

 

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