アドラー心理学の「課題の分離」と親業の「行動の四角形」
金子(A)です。
今回はちょっと真面目に、
心理学のお話です。
アドラー心理学の「課題の分離」とは
アルフレッド・アドラーを
ご存知でしょうか?
19世紀後半の、
オーストリア・ウィーンで、
フロイト、ユングとともに
その後の心理学の歴史を
大きく変えることになった
「3大巨頭」のひとりです。
ベストセラーになった
「嫌われる勇気」で、
その名前を知った方も多いと思います。
私も、アドラーは
とても好きな心理学者のひとりです。
一般に、アドラー心理学と呼ばれる
理論の中で、有名なものに
「課題の分離」があります。
例えば、子どもが勉強しないことに、
親が悩んでいる場合…。
アドラー心理学では、こう考えます。
子どもが勉強しないことで
最終的に困るのは誰か?
勉強しないことで、
その責任を最終的に引き受けるのは誰か?
最終的に困るのも、
その責任を引き受けるのも、
親ではなく子ども自身。
つまり、
子どもが勉強しないのは、
それは子どもの課題であって
親の課題ではない。
ということになります。
もし、子どもが勉強をしないからと
親が不安になったり、
心配になったりするのなら、
その心配や不安にどう向き合うかは、
それは子どもの課題とは別の、
「親の課題」なのです。
とてもシンプルで、わかりやすいですね。
親業ではどう考えるか
出典:Gordon Training International(http://www.gordontraining.com/)
一方で、アメリカの臨床心理学者
トマス・ゴードンが1962年に開発した親業
(Parent effectiveness training)では
行動の四角形(The behavior window)
というツールを使って
問題を抱えて困っているのは誰なのか?
「問題の所有者は誰か」ということを
明確にしていきます。
例えば―。
「勉強することは意味がないから
私は進学しない」
と子どもが言いました。
それを聞いて、あなたはどう感じますか?
①「ああ、そうなのね…。
勉強することは意味がないから、
進学したくないのね…」
と、子どもの発言を受け入れることができる。
同時に、
「子どもは進学のことで悩んでいるのかな?」
ということも親は感じているので、
子どもが問題を抱えている
→「子どもの問題」と捉える。
②「ええ?!そんなあなた、
進学しないなんて言って将来どうするの??」
子どものことが心配でとても不安だ。
子どもの行動(発言)が受け入れられない。
子どもの発言で自分が問題を抱えた
→「親(自分)の問題」ととらえる
親が自分の気持ちに正直になってみて、
①、②のどちらを選ぶかで
子どもの問題なのか、
自分の問題なのかが明確になります。
そして、
親である自分であれ、子どもであれ、
問題を抱えているその人自身が、
その問題を解決していくことができるよう、
自分にも、相手にも働きかけていきます。
自分の気持ちに正直になる
自分の感情は②である。
そんな時、親業では
「わたしメッセージ」を使って
自分の気持ちを素直に相手に
伝えることにより、
相手が行動を変えるよう、
働きかけることもできます。
「あなたが『勉強には意味がない、
進学したくない』と言うと、
私はあなたの将来がとても不安で、
心配になるのよ」
子どもに、そう言うことも選択できるのです。
わたしは親業のインストラクターだから
言ってしまいますが、笑
親業はそこが自由でイイと思うんですよ。
「親だから、こう考えるべき」がない。
自分の気持ちを正直に
言ってみてもいいんだ、というところが。
無理に受け入れない
相手の行動が受け入れがたいのに、
無理に受け入れよう、納得しようすると、
自分の正直な気持ちに、
うそをつくことになります。
本当は、すごく子どものことを心配して
不安になっているのに、
”これは子どもの問題なんだから”
と自分に言い聞かせ、納得させようとする。
そして、全然心配なんかしてないよ、
という態度で子どもに接するとしたら、
そんな親の偽りの態度はどうしたって、
子どもに伝わってしまいます。
親業では相手(子ども)の行動が
自分にとって受け入れられるか、
受け入れられないかは
親が「自分で」決めます。
あたりまえじゃないですか!
と思うかもしれません。
でも、親である私たちは、
「親なんだから、こうすべき」
「親ならば、こう考えて、こう行動すべき」
という、世間の価値観や自分の思い込み
はたまた、周囲の様々なアドバイスに
いかに左右されやすい存在かを、
しっかり認識したほうがいいかもしれません。
まず、自分の本当の気持ちに気づく。
正直になる。
そして、どうしても受け入れられない
と感じるなら、それを率直に
「私は心配だし困るよ」って
わたしメッセージで伝えることもできる。
親業にはそんな自由度があります。
だからと言って、、、
親は正直でさえいれば、
子どもに何を言ってもいいんだ!
と誤解しないでくださいね。
トマス・ゴードンも
著書の中で書いていますが、
「わたしメッセージ」を使いたくて
うずうずして
子どもに弾丸のようにうわーっと言い放って
玉砕する親御さんがいかに多いか 笑
わたしメッセージには
効果的な伝え方があります。
そして、「能動的な聞き方」と
セットで使ってこそ、なんです。
自分の気持ちも、
子どもの気持ちも尊重すること。
これが一番大事なのです。
だから親業ではまず
子どもの話をしっかり「聞くこと」から学ぶんです。
・・・・・・・・・・
『私が「親業」で得たもの』
5話連載のコラムはこちら
↓
https://beans-n.com/parent-effectiveness-training/learn-pet1/
金子(A)
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