子どもたちが笑っていられる場所にしたい

地域でキラリ☆な人を取材!
びーんずメイトVol.23
NPO法人EdFuture理事・海老原千紘さん

千葉県松戸市の学校外の居場所
「Sunday place(サンデープレイス)」
をこの秋(2022年9月)から始めた
公立中学校・養護教諭の海老原千紘さん。

NPO法人EdFuture理事として始めた
不登校支援の活動ですが、実はご自身も
小中学生時代に不登校を経験しています。
海老原さんの居場所づくりへの
思いをうかがいました。

子どもたちの希望でお菓子作りに挑戦することも。

――ここは文字通り「日曜日の居場所」なんですね。海老原さんは中学校の保健室の先生だから、平日でなくお休みの日曜日に。

最初は平日の日中じゃないと、不登校の子たちの需要がないんじゃないかと思っていたんです。でも、それって私の偏見というか、硬い考え方だなと思って。やらないよりは行動したほうがいいと思って、日曜日に始めました。

――海老原さんご自身も不登校を経験しているから、居場所の必要性を強く感じていたんですよね。当時はどんな場所が欲しかったですか?

まず心理的に安全な場所っていうのは大前提ですね。当時は自己肯定感がすごく低かったので、何か言われるんじゃないか、否定されるんじゃないか、っていう不安で一歩が踏み出せなかったので。

NPO法人EdFuture理事・海老原千紘さん

いつ来てもいいし、来なくてもいい

学校でも家でもない第三の居場所っていうのが良かったなと思いますね。学校だと「これからも関係が続くから」って身構えちゃうんです。

フリースクールは「やめたい」と思ったらやめられる場所だったから、自分的には気がラクで居心地が良かったです。

この「サンデープレイス」にも今、定期的に来ている女の子が一人いるんですけど、「いつ来てもいいし、来なくてもいいし、私はいつでも待ってるよ」と伝えてます。

会場は児童館と図書館を兼ねている町内会館。本や漫画を読んだり、ボードゲームで遊んだり、勉強をしたりと過ごし方は自由。

――そういう構えというか、スタンスの居場所だというのは、はじめから海老原さんのイメージにあったんですか?

いえ、いっぱい修正したりしてますね(笑)。たくさんの人からアドバイスを受けて。

――それはどんな方々から?

居場所を開きたいと思って、この夏休みは松戸市内の子どもの居場所をずっと見て回っていたんです。その中で出会った不登校や居場所づくりに精通された方――ソーシャルワーカーさんや子ども食堂を主催されている方に、たくさんアドバイスをいただきました。最初はやっぱり子どもたちが来てくれるかが不安だったんです。それをその方に言ったら、「来た子を大事にしようよ」って言ってくださって。

確かに集客みたいなことに熱中するより、来てくれた子がどうしたら過ごしやすいかを考えて、その子を大切にするような居場所じゃなきゃダメだなと思いました。

あと、最初は時間ごとにやることを決めてたんです。午前中は勉強の時間にして、午後はアクティビティにしようとしていたんですけど「それだと子どもは来たがらないよ。学校っぽい」とアドバイスをいただいて。

今は何もやることを決めずに、子どもたちが過ごしやすい方法で過ごしてもらうスタンスに変えました。

――家から一歩踏み出すことが難しいお子さんもきっと大勢いますよね。お子さんそれぞれにタイミングもあると思いますが、大人はどう関わればいいでしょう?

期待しないで一回聞いてみるのがいいと思います。「こういう所あるらしいよ」ぐらいの感じで言ったほうが、子どもも構えずに受け取れるんじゃないかなと。

海老原さんの思いに賛同してくれた根木内町内会の協力を得て、会館は無償で借りることができた。

選択肢を挙げて子どもに選んでもらう

もう一つは私の反省でもあるんですけど、「この子は来ないだろうな」って先入観で見がちなんです。でも気軽に言うと意外と来たりするんですよね。

最近、勤務先の学校でも放課後のフリースクールのようなものを開いていて、声をかけるとしたら、この子とこの子かな? って私の中で考えてたんですけど、私が考えていた子以外の子も来てくれて、半年ぶりに登校したということもあったんです。

こちらが先入観で諦めちゃうのも良くないなって。選択肢をいくつか挙げて選んでもらうのが一番なのかなと思いますね。

――勤務校の中学校で放課後フリースクールを開いているんですか?

長期欠席の子は保健室にはあまり来ないんです。その子たちに安心して来てもらいたいと思って始めました。

ただ、もう学校すら見たくない子たちもいるんです。教員って子どもに学校に来てもらわないと家庭訪問に行くぐらいしかできない。だからやっぱり学校外の居場所が必要だなって思いました。

たまに不登校の子が放課後に学校に来ることもあるんです。でも学校内では笑ってくれなくて。表情が全然ない子ばかりで。

その子たちにただもう笑ってほしいと思ったのが、この場所を始めようと思ったそもそもの純粋な動機なんです。学校内でできることはもちろん精一杯やるんですけど、学校外だからこそできることもあります。そこはそれぞれ分けてやりたいと思ってますね。

なので、ここは本当に子どもが笑ってくれる、笑っていられる場所にしたいなって思ってます。

日曜日には、地域の町内会館が学校に行きづらい子どもたちの居場所に変身する。参加費・予約も不要。

Sunday place(サンデープレイス)
住所:千葉県松戸市根木内517根木内会館
日時:毎週日曜日 10:00~14:00
申込:不要
参加費:無料
問い合せ:メールedfuture2022@gmail.com

金子(A)

 

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不登校インタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』Vol.10

学校へ行かずにいると、将来どうなるの?
学校に行かなくてほんとうに大丈夫なの?

もちろん、そこに正解なんてありません。
世の中の多くのものごとと同じように。

でも、
いろんな例を見聞きし、知ることができれば、
不安を和らげるのに役立つのではないか。

そんな思いから
自らも息子の不登校を体験した親である
びーんずネットの二人が、不登校をテーマに
インタビュー事例集を作成しました。

不登校・ひきこもりを経験した人。
その保護者。
子どもたちに寄り添う人。
そして自分の学びを実践した人。

そんな七人七色の「雲と青空」を、
丹念に取材してまとめました。

雲を抜けた先には、
いつも青空が広がっている――。

ぜひ、ページを繰って、
あなた自身でそれを確かめてみてください。

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