信頼していれば自然に大人になっていく

びーんずメイトVol.41
フリースクールにじのはし
小嶋めぐみさん

神奈川県川崎市で2020年に親子の
居場所づくりを始めたことを皮切りに、
フリースクール「にじのはし」
(京町と大師町の2ヶ所)、
「キメキメこども食堂」と
「にじかふぇ」を運営する
NPO法人レインボースクールかわさき。

地域の活動にも積極的に取り組んでいる
理事長の小嶋めぐみさんに、
これまでの歩みをうかがいました。

おにぎりプロジェクト「にじかふぇ」(こども食堂)も毎月開催

――小嶋さんが川崎でフリースクールを始めたきっかけを教えていただけますか?

もともと自宅で英語とウクレレ教室をしていて、出張でも教えていたんです。友人のフリースクールに英語を教えに行きだしたのが2017年ころですね。「え? こういう居場所があるんだ」と思って。子どもたちが本当にのびのび、イキイキしてる。学校に行かなくても元気に地域で育っていけばいいんだなとそのとき知って、私も地元の川崎でやってみたいと思ったんです。

関わる大人が増えると世界が広がる

不思議なご縁で2020年から川崎区京町のカフェを任せてもらえるようになったんです。私はお客さんだったんですけど、オーナーが「沖縄に引っ越すから、小嶋さんやらない?」って。カフェの経験なんてまったくないのに、それからずっとバナナスムージーばかり作ってました(笑)。「子どもたちの居場所をつくりたいのに、私なにやってるんだろう?」と思いながら。

でもそのカフェで今うちのNPOの副理事をしている奈良さんと出会ったんです。「実はこういうことがやりたくて」と話したらすごく賛同してくれて。翌年の2021年の6月からカフェでフリースクールを始めました。

NPO法人レインボースクールかわさき理事長・小嶋めぐみさん

それから4年経って最初に来てくれた小3の女の子は今、中1になりました。もうスタッフみたいですね。こども食堂でも働いてくれて。

――こども食堂もやっているんですね。

もともとフリースクールの子どもたちと土曜日に「にじかふぇ」というおにぎりを食べる会をやっていたんです。保護者のお母さんたちにも手伝ってもらってるんですけど、思ったのは関わる大人が増えると子どもたちの世界が広がるんです。だからできるだけいろんな人に関わってほしいなと思って。新しく始めた月一回・金曜日の「キメキメこども食堂」は地域のボランティアの人とカレーを作ってます。こちらは「誰でもどうぞ」という感じです。

今度、地域と子どもを食でつなぐというテーマで「第1回レインボーフェスかわさき」というお祭りをするんです。子ども食堂をしている人たち同士でつながったり、情報交換をしたり……。子どもの居場所もそうですけど、長く続けられるように地域のみんなで考えていけたらと思います。

子ども食堂を応援する「第1回レインボーフェスかわさき」も企画・主催した。これまでの活動の集大成と位置付ける。

――「にじのはし」に通うお子さんたちの変化を感じる場面はありますか?

満四年経ってやっと朝の会ができるようになりました。以前は「朝の会やろう」って言うとみんなふわーって去っていく(笑)。「朝の会」とか、みんな学校っぽいのが嫌いなんです。だから「私たちは株式会社にじのはしの社員です! 会議しようよ」と言うと座る。子どもたちは「会議」とかそういうのは好きだから。そうやって実際に朝の会をやって、みんなでやりたいことを決めておくと、帰るときの満足度が高いと気づいたみたいです。

――それまで朝の会がないときは?

ガンガン、みんなトークです。週1回だったので1週間ぶん溜まった話したいことを私や奈良さんにブワーッて話す。私が1人のときは次の子が後ろで並んで待ってる。大変でした。 そうしているとすぐにお昼になっちゃうんですね。お昼食べてちょっとのんびりして、3時ごろみんなにやっとエンジンがかかってきて。4時になって「帰るよ」と言うと「やだー!」と抵抗がはじまる。

結局、週に一日だけじゃ足りないとなって、今年の4月からお試しで週2回にしたんですけど、1日目はみんなブワーッとしゃべって満足して、2日目は少しヒマになる。やっぱり増やしてよかったなって。 そしたらある子が「朝15分だけ、英語を教えてほしい」って自分から言い出したんですね。ゲーム機のスイッチ2が当選したけど、ゲームが英語ばかりでわからないからというのがきっかけみたいです。そうしたら他の子も「自分も英語やろうかな」って4月から朝15分の授業が始まるという、本当に信じられない光景が続いていて。

毎週月曜10時から12時までお茶を飲みながら息抜きできる、落ち着いたカフェで不登校の親の会も開催している。

どうやらこの大人たちは信頼がおける

フリースクールでは最初は一日のプログラムを決めていたんです。でもまったく思う通りに行かなくて。この3年は私たちの「修行」でしたね。口を出さない。押し付けないように見守る。我慢して信頼する。

――大人はつい、何かしてあげたくなる。

でも子どもたちにはっきり言われるんです。「大丈夫、けっこうです」って(笑)。 この3年間は信頼関係を築く期間だったというか――どうやらこの大人たちは信頼がおけるという子どもたちの安心がまた信頼につながって、それで「朝の15分ぐらいなら座ってもいい」と思ったのかな。

以前に英語を教えていたフリースクールの子たちが今は高校生で、すっかりお姉さん、お兄さんなんです。その姿も私には安心材料で。「信頼していれば自然に立派に大人になっていくんだな」というのがわかる。だから今は不安はないんです。

学校へ行かずにお家で過ごしている子どもたちが、思い思いにのんびり過ごせる居場所をめざしている。

フリースクール にじのはし
神奈川県川崎市川崎区京町1-10-1
毎週月曜日10:00〜16:00(京町)
神奈川県川崎市川崎区大師町15-9
毎週木曜日10:00〜16:00(大師町)
利用料:月謝制(体験・見学は随時無料)
対象:小学生から高校生
問合せ:080-6550-0522 daishi.rainbow@gmail.com

金子(A)

 

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不登校インタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』Vol.11

学校へ行かずにいると、将来どうなるの?
学校に行かなくてほんとうに大丈夫なの?

もちろん、そこに正解なんてありません。
世の中の多くのものごとと同じように。

でも、
いろんな例を見聞きし、知ることができれば、
不安を和らげるのに役立つのではないか。

そんな思いから
自らも息子の不登校を体験した親である
びーんずネットの二人が、不登校をテーマに
インタビュー事例集を作成しました。

不登校・ひきこもりを経験した人。
その保護者。
子どもたちに寄り添う人。
そして自分の学びを実践した人。

そんな七人七色の「雲と青空」を、
丹念に取材してまとめました。

雲を抜けた先には、
いつも青空が広がっている――。

ぜひ、ページを繰って、
あなた自身でそれを確かめてみてください。

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