いろんな大人が見守る中で過ごしてほしい

びーんずメイトVol.43
菊名和み塾(きくな なごみじゅく)
齋藤浩司さん
2023年4月から神奈川県横浜市で
不登校の子どもたちの学習支援を
おこなっている齋藤浩司さん。
地元の中学校校長を退職後、
家庭でも学校でもない第三の居場所
「菊名和み塾」を立ち上げました。
他の居場所や企業とも協働しながら
子どもたちを支えている齋藤さんに
地域と学校、そして居場所への
思いをうかがいました。

電子黒板を使ってパズルや計算系クイズなどを楽しむことも
――齋藤さんは校長先生を退職後に地元でご活動を始めたそうですね。
37年間、横浜市で教員をしていました。もともとは中学の国語の教員です。今は不登校児童生徒の学習支援「和み塾」と、通信制高校のサポートと、教育関係の研修やコンサルをしています。あと「朝活」の運営ですね。オンラインで毎週土曜の朝、一時間テーマを設けてゲストをお招きして話しあうみたいな形です。
――いろんなご活動をされていますが、不登校支援には学校にいらしたころからかかわっていたんですか?
不登校に関しては本当に誇れるような話はなくて。担任もやってましたけど、後半は生徒指導専任という立場ですね。あまりその時代のことは若い先生には恥ずかしくて言えないんですよ。

一般社団法人とえはたえ 代表理事・齋藤浩司さん
当時は不登校の子には3日休んだら家庭訪問するとか、だいたい型が決まっていたんです。ただ日々忙しいとどうしても目の前の子を優先にしちゃうので……後悔がありました。「あの子どうしてるだろう」といまだに思い出しますから。帰りに寄ろう、19時ならいるだろうと思って仕事していて、「ああ、20時になっちゃった、もうだめだな」とか。もっとやっておけばよかったなという思いがありましたよね。
学校も「あの手、この手」はできる
そのあと教育委員会に勤務して、学校が抱えている課題の解決に向けて「これはやり方や発想自体を変えていかなければ到底無理だ」と思ったんです。
だから次に校長に赴任して取り組んだのは、子どもたちの声なき声を拾って、やさしくて柔らかくて包み込むような学校にしていきましょうということなんです。「和みルーム」という校内支援の部屋をつくったのもそのひとつで。個別支援学級で教科学習したいお子さんとか、一休みしたいお子さんとかのための弾力を持った部屋だったんですね。環境から入る子どももいると思うので、パーテーションデスクを買ったりしてそういう場所をつくりました。

月謝は無料。「行く行かないが義務化してほしくない」との思いから、出欠に関しても当日1時間前までの連絡でOKとしている。
「あの手、この手」ができるのが学校だと思うんです。リクエストがあれば授業はオンラインで和みルームにも配信するので、もう先生たちもお手の物で。「はい、和みルームのA君、聞いてる?」とか。やっちゃえばなんのことはないんですけど、多くの学校が「この手はだめ」とピシッと決めちゃっている。その発想はもったいないと思いますね。
――その「和みルーム」の経験が、今の和み塾につながっているんですね。
学校だけじゃなくて、地域の方を含めていろんな人がいろんな形で子どもをサポートできる体制がいいと思うんです
たとえば和み塾へ通った日にマルをして、塾での学習内容や家庭での様子を聞いて、私から見たコメントを加えた日々の記録をつくる。それを月ごとに在籍校に送ってます。記録を送るのは学校に出席認定の材料にしてもらう目的もあるんですけど、もっと大きな目的があるんです。一人の子に対していろんな大人が、日々どんな生活をしてるのかを知っていると、その子が学校に行ったときに「和み塾でこんな勉強しているって聞いてるよ」とか、「お家では〇〇を頑張ってるんだね」と担任の先生が言えるようになる。それは子どもにとって「ああ、気にしてくれているんだな」ということにもつながるかなと思ってます。
小学生と中学生が重なりあう場所
毎週金曜日は、和み塾から歩いて1分の町内会館を無償で使わせてもらっているんです。青少年の支援活動ということで。 和み塾も含めて、街のいろんな人が子どもたちにかかわれるように、というのが今の方向ですね。和み塾から同じような地域の居場所へとつながったケースもありますし、「和み塾に行ってるんだ」とうちの塾の子が言うのを聞いた他の居場所の子がこちらにも来るようになる、そんな双子状態にもなっていて。
他の居場所と合同でピザ会をやったりとか、アロマキャンドルづくりをやったり。 すぐ近所のパソコンショップのPCデポさんに協力してもらって「パソコン壊し大会」もやりました。ひたすらパソコンを分解して壊すんです。

重さを測ってアロマ入れて、蝋を流し込んで待つ。キャンドルづくりは遊びと理科の実験にもなっている。
――すごく楽しそうですね!
次回は「ドローンファイト」をやります。ドローンでペットボトルの上の風船を早く割ったほうが勝ち、というね。これも会場はPCデポさんです。地域の社会貢献の観点からご快諾をいただいて。こういう企画を2か月に1度ぐらいやっています。 難しいことを勉強するというよりは、初めて会った子同士も一緒にみんなで楽しい時間を過ごしてほしい。「いろんな大人が見守る中で時間を過ごしてほしい」ということなんです。
教育委員会がつくる支援センターだけではなく、小学生と中学生が重なりあう場所。疲れない程度に短い時間でも学びにかかわる、コミットするみたいな場所ですね。 私としては中学校区にひとつ、そういう場所があるといいかなと思ってます。

総ぐるみで、重なりあって、子どもたちの育ちを支えたい。そんな齋藤さんの思いが少しずつ地域で広がっている。
菊名和み塾
住 所 神奈川県横浜市港北区大豆戸町354−16
日 時 月曜(午後)、木曜(午前)、金曜(午前)
利用料 無料
対象 小学生から高校生
問合せ 090-8119-2120 akasikotaro@gmail.com
金子(A)

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子どもの不登校に向き合うとき、おとなが大切にしたいこと
その著者・田中茂樹さんをゲストにお迎えした2022年8月のびーんずネットのセミナー内容を書籍化しました。
「待つしかないのでしょうか?」
「昼夜逆転、ゲームだらけの毎日に不安」
「甘やかしと見守りの違いがわからない」
など、不登校の子を持つ同じような悩みを持つ方にとって、田中先生の回答は非常に参考になるはずです。




