「そこやったら自分は輝ける」を知ること

地域でキラリ☆な人を取材!
びーんずメイトVol.16
NPO法人「D.Live」代表 田中洋輔さん

「近くにフリースクールがない」
「家から出られないから
フリースクールへは行けない」——

そうした声を聞く中で、
「誰もが自分の居場所をつくれるように」
という思いから、2021年には新たに
オンラインフリースクールも開校した
NPO法人「D.Live」。

代表理事の田中洋輔さんに、
子どもたちとの関わりを通して
思うことをうかがいました。

D.Liveが運営するフリースクール「昼TRY部」(写真は京都校)

――D.Liveが滋賀県草津市でフリースクールを始めて五年。振り返ってみて、順調にこられた感じですか?

順調ですね、たぶん。

二年、三年ぐらいやってきて「あ、いける」と思ったんです。自分の力が通用すると思って。そうなると自分らが知ってるノウハウを伝えていかないと宝の持ち腐れじゃないですけど、社会的損失だなと思って。ある種「使命感」に近い感覚ですね。

NPO法人D.Live代表理事 田中洋輔さん

応用が効いた保護者向けの連続講座

フリースクールを始めて一年半ぐらい経ったときに「今までのノウハウをまとめてみよう」と思って、保護者向けの連続講座を始めたんです。やってみたら盛況だったのと、卒業生の親御さんの子どもたちが、劇的に変わったんですよ。

――どんなふうに劇的に変わったんですか?

学校に全然行ってない女の子のお母さんに「勉強もしないで家でずっとKポップ聴いたり韓流ドラマばかり見てるんですよ、どうしましょう?」って聞かれたんで、「死ぬほど見さしといてください。で、お母さんも一緒に見てください」って言ったんです。

そしたらその女の子が「韓国で話せるようになりたい」って韓国語を勉強しだして。今はキャビンアテンダントを目指して学校で勉強してるんですけど、もう三か国語が話せる――みたいな感じですね。

そこからですね、「ああ、僕らがやってること間違ってない」って。

この夏、全65章・約10万字に及ぶ大著「不登校の親の教科書」を完成させた田中さん。詳しくはこちらから

――それが田中さんの自信にもなって。そこからはどんなふうに動かれたんですか?

団体を始めたころから僕らはコンテンツマーケティングを主軸にしていて……要は僕ら「ひきこもり」なんで、外に出たくないんです。

なので「僕らの活動を必要とする人が向こうから集まってくる仕掛け」をつくっていこうと思って、ひたすらブログを書き続けて。そこから「これからはユーチューブの時代だ」と思ってユーチューブに移行したんです。コツコツ動画を投稿して、もう三年か四年くらい続けてますね。

――「僕らひきこもりなんで」って仰いますけど、全然そう見えませんが……。

よく言われますけど、僕は人と会うとエネルギー使うんでだめなんですよ。

だから自分たちの強みとか、できることは常に意識してますね。無理してやるとプロ野球選手がサッカーやってるみたいな感じになる。それって誰のためにもならないんで……。

――自分の強みを発揮できるように、無理はしない。

そうです。できないことはしないですね。

ユーチューブも僕ら、できるからやってるだけで。

傲慢でもなんでもなくて、客観的に「これはできるよね、これはできないよね」って。自己理解はめっちゃ頑張ってますね。

「できないこと絶対やんなよ」

もともとは僕自身がしんどかったっていうのがあって――「不登校の民」ってよく言ってますけど、ぜんぶ頑張らなきゃって思うし、ぜんぶ完璧にしなきゃとか。

僕もそうでしたけど「逃げたらいけない」みたいなのがすごくあって、できないことイコール「自分の弱み」って思ってたんです。

でも今、これだけネットが普及した時代になってくると、本当に何でも好きなことをやってたら生きていける社会になってるので。「いかに自己理解していくか」っていうことと、「社会をどれだけ知るか」っていうことの両方が大事だと思ってます。今の社会と、今の自分のできることと、求められていることの“掛け算”っていうか。

「そこやったら自分は輝ける」っていう。セルフプロデュースに近いですね。

サポーターの皆さんとのオンライン交流会。D.Liveでは、毎月の寄付で活動を支えてくれるサポーターさんを随時募集している。

――そういうお話をTRY部のお子さんたちにすることは?

「できないこと絶対やんなよ」って言ってるし、「大人の意見絶対聞くなよ」って話してます(笑)。もう時代が違うんで、子どもたちはたぶん大人の話、わからないと思うんですよ。

だから僕らがアドバイスできることって本当にないと思ってます。基本的なこと以外は本当にわからないので。

「オギャー」って生まれた瞬間にiPad触ってる子らとはやっぱりね、感覚が違う。

――それはオンラインフリースクールでも感じますか?

それこそ本当に「デジタルネイティブすげーっ」て感じです。オンラインで参加した瞬間に、子どもらがすぐになじむんです。  もちろん、初めはちょっと緊張したりはあるんですけど、なじむ早さはちょっと想像以上ですね。

あれは本当にすごいですよ。

保護者同士のサークル活動も活発で、全国のメンバーがオンラインでつながっている。「遠足に行こう!」という企画も。

NPO法人D.Live(ドライブ)
●昼TRY部
対象:小学校5年生~高校3年生
滋賀校:マグハウス(瀬田駅徒歩5分)滋賀県大津市大萱一丁目9-7ワイエムビル202
京都校:学び舎傍楽(阪急烏丸駅/地下鉄四条駅徒歩5分)京都府京都市中京区六角油小路町345-2
●オンラインフリースクールTRY部
対象:小学校1年生~20歳/使用アプリ:Discord

金子(A)

 

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不登校インタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』Vol.10

学校へ行かずにいると、将来どうなるの?
学校に行かなくてほんとうに大丈夫なの?

もちろん、そこに正解なんてありません。
世の中の多くのものごとと同じように。

でも、
いろんな例を見聞きし、知ることができれば、
不安を和らげるのに役立つのではないか。

そんな思いから
自らも息子の不登校を体験した親である
びーんずネットの二人が、不登校をテーマに
インタビュー事例集を作成しました。

不登校・ひきこもりを経験した人。
その保護者。
子どもたちに寄り添う人。
そして自分の学びを実践した人。

そんな七人七色の「雲と青空」を、
丹念に取材してまとめました。

雲を抜けた先には、
いつも青空が広がっている――。

ぜひ、ページを繰って、
あなた自身でそれを確かめてみてください。

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