みんな生きる力を持って生まれてきてる

びーんずメイトVol.32
フリースクールたんぽぽの綿毛
山本良子さん

愛媛県松山市でプレーパークや
預かり型の自然保育
「森のようちえん」
を運営するなど
子どもたちがのびのび育つ場所を
つくっているNPO法人
みんなダイスキ松山冒険遊び場。

5年前には
「フリースクールたんぽぽの綿毛」
も立ち上げた代表の山本良子さんに、
子どもたちへの思いをうかがいました。

自然豊かな環境を活かしての外遊びも

――山本さんが今のご活動を初めてどのくらいになりますか?

2006年からなので、18年目ですね。「フリースクールたんぽぽの綿毛」は2019年の4月からです。

フリースクールには今は20人ぐらい通ってきてます。下は小学2年生から上は中学2年生です。一日の過ごし方は自由ですが、お昼は毎回みんなでご飯を作って食べてますね。

食べられるようになると元気になる

ご飯を食べるのはやっぱり大きいです。朝は食べられない子もいるし、お昼も最初に来たときには食べない子も割といます。ただずっと食べなくて「いらない、いらない」って言ってた子も一年ぐらいたって食べだす。ちゃんと食べられるようになると元気になるなと思いますね。

――卒業生はどんな進路を選んでますか?

ここを卒業した子はまだそんなにいないんですけど、小学校5年生から不登校でここに来てた男の子がいて。サッカー日本代表の元監督・岡田武史さんが学園長のFC今治高校の里山高が今年開校したんですけど、そこを受験して合格して、この春から一期生として行く子がいます。

彼は料理が大好きで、毎回ご飯を作ってくれて。盛り付けにもこだわりがあるんです。愛媛は鯛が安いからけっこう大きいのを魚屋さんが持ってきてくれるんですけど、それを丁寧にさばくのも大好きで――いつもケーキを作る子で、将来はパティシエになりたいそうです。

中学校はなんとか3年間行ったのかな? 学校にも行って週に一回ここを居場所に休憩して。釣りイベントのときは学校を休んで来るみたいな感じで過ごしてました。

NPO法人みんなダイスキ松山冒険遊び場・代表 山本良子さん

――山本さんが五年前にフリースクールを始めたのはどうしてですか? それまでのご活動の中で考えたことは?

私は4人の子どもを育てながら活動してきたんですけど、3人目の子が小学5年生ぐらいから不登校で中学は3年間行ってないんです。でも当時はフリースクールを立ち上げようとは思わなくて。

子どもが自分の足で歩いて自分の人生を歩んでくれるのが、一番幸せだと思ってるんです。「そのためにどうしたらいいか」を原点に置かないといけない。

私はフリースクールをつくることは、「後手」だと思ってるんです。「先手」じゃない。何か起きたから対応する、を繰り返してたら今の問題って解決しないと思っていて。

子どもを四人育てる中で、小さいころからいろんな体験をたくさんすることが大事だと思って――育ちの原点というか。

森のようちえんをやったり、キャンプをやったり、そこで元気になっていく子どものプロセスをずっと見てきたんです。

いろんな体験をしたり、人と関わったり、泣いたり笑ったりしながら、本人がやってみたいことを思い切りやる体験の中から、人間としての生きる力が育まれていくと思うんです。そういうものを大事に育てていく環境をもっと当たり前にしていくことが大事だと思うから、フリースクールをやろうとは思ってなかったんですよ。

でも「これはもうフリースクールをやれっていうことか」と思うような出来事とタイミングが重なって、それで五年前に始めたんです。

お昼はみんなで食べる。人数の増加にあわせて食材の消費量も増えて、業務用スーパーへ買い物に行くことも。

ワクワクすることが経験値を上げていく

フリースクールに通う子の中には、「学校で勉強してない自分はだめだ」って思う子もいるかもしれない。でもそんなことはなくて。ここで本当にいろんな体験をして、学校に戻ってみたら「みんなどうしてたの? 何もしなかったの?」みたいな――もちろん学校で国語算数とか教科の勉強はするけど、経験値を上げるようなことって実はそんなにしてない。ここで本当に楽しいこと、自分がワクワクすることをいっぱいやってたら、学校に行ってる子より経験値が上がると思うんです。

――ワクワクの経験値が。

全然レベルが違うと思うんですよ。

そういう感覚をみんなに感じてもらえたらいいけど、ただそれはひとり一人が感じることであって、大人が求めることじゃない。子どもたち自身が気づかない間にそういうプロセスを踏んで気づいていくものであって、私たちはそれをプロデュースというかコーディネートしていく。

ゲームで遊ぶのと同じくらい、公園や外で過ごすのも好きな子どもたち。4月の海遊びの一コマ。

本当は子どもたちにつくりあげていってほしいですね、フリースクールを。そのほうがたぶん、面白いだろうと思います。

失敗を経験しながら、子どもが自分の足で歩いていく。自分の生きたい人生を自分で考えて前に進んでいく。小さなことからでいいんです。そういうことができてくると、たぶん自分で歩いていくようになるんじゃないかなと。

私もいい歳なので、まだもうちょっと動けるかなと思いながらやってますけどね。子どもたちが元気になってほしいだけなんです。みんな元気に生きていく力を持って、この世の中に生まれてきてるはずなので。本当は何の問題もなく、みんな元気に生きていくはずなんですよ。

これまで培ってきた遊びや自然とのかかわりを大切にしながら、ひとり一人の子どもの育ちをサポートしている。

NPO法人みんなダイスキ松山冒険遊び場
フリースクールたんぽぽの綿毛
住 所:愛媛県松山市祝谷3丁目6-1
対 象:小学1年生~中学3年生
日 時:毎週火・水・木曜日 9:30~15:00

金子(A)

 

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7年間の不登校から15歳で飛び込んだ社会は、思っていたよりあたたかかった

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