安心して通える場が受けつがれてほしい

びーんずメイトVol.40
児童発達支援・放課後等デイサービスOHANA
只松佑海さん

福岡県北九州市で2024年に開所した
児童発達支援・放課後等デイサービス
OHANA。

朝から開いている、
不登校児童・生徒に寄り添った
新しい形の放課後等デイサービスです。

元フリースクール代表の只松佑海さんに
OHANAを立ち上げたきっかけと、
子どもたちの居場所への
思いをうかがいました。

「おうちランド」の中でカードゲームを楽しむ!

――不登校支援に特化した放デイ(放課後等デイサービス)は珍しいですね。

そうかもしれません。リサーチしたわけではないので、はっきりはわからないんですが、どこに行っても「朝から開いている放デイは珍しい」と言っていただくので。オハナでは子どもたちが10時に来て3時になったら帰るという感じですね。

――只松さんは、もともとフリースクールを運営されていたんですよね?

2021年に一軒家を借りて、子ども食堂とフリースクールの二本立てで始めました。長男の親友の子がたまたま学校へ行けてなくて、お母さんから相談を受けていたのと、私の三人の子どもが発達デコボコちゃんたちで、下の二人がコロナがきっかけで学校に行きづらくなったのもあって。

この子にあう支援をしてください

一番下は学校に行かないというよりは、上から押さえつけられるのがとても苦手な子で。苦手なことを強いられると、もうイヤだって、学校を飛び出して帰ってくる。

しょっちゅう学校から呼び出されて私は仕事もできないし、「この子にあう支援をしてください」と学校にお願いしても、専門の先生がいないのでできない。発達障害の子に対する支援を知らない先生に私が一生懸命教えるみたいになってしまう。それなら困ってる人たちもいっぱいいるし、みんなが集まれる場所・フリースクールを自分でつくろうと思って始めたんです。

合同会社裕海・代表 只松佑海さん

ただ大変だったのは維持費とか運営費とかで。私もひとりで週3日開けて、月5千円いただくだけでやっていて、このままだと維持できないなと。

自分が倒れてしまったときに誰かやってくださいって言ってもきっとやる人はいないと思ったんです。それで継続が可能な方法をスタッフといろいろ考えました。

文科省の言う多様な居場所に放デイも入ってきてますし、今までフリースクールでしっかり基盤もつくってきてるから、この機会に「朝から開けている放デイ」にしようと。運良く今の場所も見つかって、去年から放デイに切り替えたんです。

――利用には申請などが必要でしょうか。

他の自治体のことまで詳しくわかりませんが、北九州市では受給者証が必要です。お医者さんの意見書を区役所に出せば申請できます。

学校に居づらいお子さんには、発達の特性を持っているお子さんも多いんです。たとえば学校では普通級にも支援級にもどっちにも所属できるけれど、普通級にいるとこぼれ落ちてしまう。今ここに来てる子にもそういう子たちが多くて。

学ぶことが楽しくなる学習サポートも日々行っている。この日は「難読漢字」をしたあと、熟語探しゲームにも挑戦。

うちの一番上の子は学校はもう皆勤賞だったんですよ。中学から支援学級に入ったんですけど、支援学級だったら次に行く場所は特別支援学校しかない、みたいな。当時は選択肢がない時代だったんです。いや、それはないだろうと。

この子は学校に行けてるし、勉強もすごくしたいという意欲がある。それを「特別支援の子だから」と通常の子たちと違うプログラムを与えられて、学びを遮断されているような状況で。学校にかけあって、本人が理解できる授業には入れてもらって、最終的に私立の学校に進学したんですけど、うちの子は学校に交渉したからうまくいっただけの話で。うまくいかなくなった子たちが不登校になってる流れはいまだにありますよね。

大変さはあるけど、私たちも楽しい

――オハナに通いだしたお子さんたちにはどんな変化がありますか?

不登校状態のときって体力も落ちてるし、食欲がないお子さんが多いんですけど、ここでは活動するからお腹が空くみたいで、「朝昼晩こんなに食べるようになるなんて!」と親御さんが仰ってくださったり。

病気で家にこもりがちで友達と一緒に出かけた経験があまりない子がいたんです。でも彼がリーダーになってみんなで計画を立てて、友達の家に泊まって映画に出かけたりとか。

子どもたちの自主制作動画が北九州国際映画祭2024小中学生部門最優秀賞を受賞。居場所での成長の可能性を等身大で表現した。

あと不登校では昼夜逆転にもなりやすいんですよね。家にいれば一日中寝てしまうようなお子さんも、ここに来だしたらほぼ休まないんですよね。学校に行かなかった子も、ここには「行きたい、行きたい」って来てくれたり。

――うれしいですね。

ここに来ている子たちって、本当に素敵な子たちなんですよ。友達のことも思いやれるし、どんな障害があってもその子をそのままで見てあげられる。でもそれだけいろんなことに気づくことができる子だから、社会に出たらきっときついだろうな、とも思うんです。

とにかく今、子どもたちが安心して通えるようなこういう場所を、安定的にずっと続けられればいいのかなと。

子どもたちも「ここが楽しい」と言ってくれてますし、私たちも大変さはあるけれども、とにかく毎日が楽しいので。同じ思いをもって子どもたちに接してくれる若いスタッフたちが育って、この場所が受けつがれていったらいいなと思っています。

OHANAはハワイ語で「血のつながりを超えた家族」の意。支えあうパズルのピースのような支援をスタッフ共に探す。

児童発達支援・放課後等デイサービスOHANA
住 所 〒806-0055 福岡県北九州市八幡西区幸神四丁目7番10号 ルナビル206号
日 時 月〜金9:30〜17:00 ※利用には受給者証が必要
利用料 世帯所得によって異なる(月額上限37,200円|非課税世帯は0円)
定休日 土日・祝日・年末年始・お盆
問合せ 093‐482‐6230 ohana@yutakami.jp

金子(A)

 

ブログランキングに登録しています。
応援いただけたら嬉しいです。クリックお願いします。

にほんブログ村 子育てブログ 不登校・ひきこもり育児へ

 

 

 

保護者・教員・支援者のための不登校の手帖

神奈川県横須賀市で20年にわたり、不登校生の居場所と学習支援に関わってきたアンガージュマン・よこすか理事長の島田徳隆さん。
上町商店街の中で成長していく子どもたちを地域の方とともに見守り続けてきた島田さんが、やさしく紹介する不登校理解に役立つアイデア集です。

著者の島田さんのやさしいお人柄がにじみ出てくる、「ちょっとオフビート」な不登校の本。びーんずネットからお届けします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA