「やりたかった」が実現できる場所

びーんずメイトVol.39
サドベリースクール アルママ
園田たきねさん

東京都荒川区で2023年に開校した
「サドベリースクール アルママ」。

クラスや授業、先生もテストもない
サドベリースクールは
「みんなで話し合って
つくっていくスクール」だと
代表の園田さんは話します。

お子さんの不登校をきっかけに
「自分自身が行きたかった学校」
を自ら運営するようになるまでを
園田さんにうかがいました。

スクールから公園まではなんと徒歩10秒の好立地。

――園田さんがサドベリースクールをつくろうと思ったのはどうしてですか?

長男が小学校で不登校になったときにサドベリー教育との出会いがあったんです。すごくいいなって思ったんですよ。キラキラして見えたんですよね。私がこんな学校に行きたかった!と思って。

私の長男は保育園のときから不登園というか、行きしぶりで。当時うちは共働きでしたから3年ぐらい戦争みたいな状態だったんです。仕事柄、私はどうしても出社しないといけなかったので、夫が家庭の状況を会社に話して在宅勤務にしてもらったり、母に協力してもらったりでなんとかしのいでました。

サドベリースクール アルママ代表の園田たきねさん

ただ息子が家で過ごしてエネルギーが溜まって活動的になってくると、どうしても私一人の手には負えなくなってきて。いろんなフリースクールを見ていく中でサドベリーを知ったんです。それで兵庫県にあるデモクラティックスクール「まっくろくろすけ」で1週間の研修を受けたんですね。

自分が小学生をやり直せばいい

フリースクールなんてつくり方もわからなかったんですけど、私自身が子どものころ学校が好きじゃなかったから、その私の時間を取り戻したいという気持ちもあって。

自分が行きたかった学校をつくってもう一度、自分も小学生をやり直せばいいと。入り口は子どもの不登校でしたけど、「自分が行きたい学校をつくりたい」に変わっていきましたね。

最初はフルタイムで仕事をしながら月一回の開校でした。それまでサラリーマンという道しか知らなかったから、食べていけないんじゃないかとか、レールを外れることに恐怖があったし、思い切れなかったんです。ただ協力してくれる人を探したら公認心理士の資格を持った方がスタッフとして来てくれて、翌年に私も会社を辞めて毎日開校できるようになりました。

荒川区とプロのサポートを得てアルママのYouTubeショート動画を撮影、子どもたちも出演した。

――お子さんたちの様子はどうですか?

はじめはみんな傷ついてここに来るんですよ。私は自分の子どもとの経験から、傷が治って元気になるには3年くらいかかるかなと思ったんです。でも驚いたことに想像の5分の1から10分の1ぐらいの時間で回復していく。たぶん「親と子」だけじゃなくて子ども同士でのやり取りがすごく刺激的だからでしょうね。

たとえばある男の子は、最初に来たときはずっと立ったままで、何をしたらいいかわからずに「座ってもいいんですか?」って聞いてくるような子だったんですよ。

その男の子があるとき「ネイルをしたい」と言ってくれたんです。幼稚園のころからネイルをしたかったけど「やりたい」となかなか言えずにいて、でもここでは言えた。それで調べて一緒にネイルサロンに行ったんです。

その子がやりたかったことが実現される場所に立ち会えたのが私はすごくうれしくて。「やりたいことをやりたいって言っていい」「やりたくないことはやりたくないと言ってもいい」という心理的安全がある環境にいると子どもは変わるんです。

実は私もネイルをやったことがなかったんですよ。ずっと食品メーカーで開発を担当してきたので。「そうだ、私もネイルやりたかった」と思って、そこから定期的に行くようになったんです。子どもの「やりたい」を実現できるところに一緒にいられて、しかも「実は私もやりたかった」にも気づける。感動をもらえるんですよね。

自立し、自分らしい人生を生きるためにはお金の知識は欠かせない。ときに子どもたちの要望でお金の勉強をすることも。

その子が心地いい育ち方を知ってる

みんながここでどう変わっていくのかもすごく楽しみだし、私自身も変わりたい。

やっぱり私たちも「ちゃんとした大人じゃなきゃいけない」「親ならこういうときはこう言わなきゃいけない」みたいなものにがんじがらめになっちゃってる。

でももっと生身の人と人として、大人と子どもじゃなくて人間と人間という関係でいいんじゃないの?って。

そうやっていると、どんどん本来の自分に戻っていく感覚になるから、無理もしないし、肩肘張らなくていいから元気になっていく。そっちのほうが全然楽しいなと。

――まさにスクール名の由来の「あるがまま」の状態ですね。

ありのままだときれいすぎるんですよね。存在そのもの、あるがままのほうがしっくりくるので「アルママ」にしました。

「まっくろくろすけ」の研修で聞いて「これだ!」と思った話があるんです。

植物の種って水をあげるだけで、花になったり、木になったり、野菜になったりしますよね。なぜかというと、その種自体が自分の育ち方を知ってるから。「こっちに葉っぱを出しなさい」なんて指示されなくても、ちゃんと本来の姿で育っていく。

「人間も一緒で、肥料をあげたり、継ぎ木なんかしなくても、その子自身が本当に心地いい育ち方を知ってる。だから大人は操作的な関わりはしなくていい」と聞いて、「ああ、私もそういうふうにしてもらいたかったんだ」と思ったんです。

それぞれが違っていていい。子どもたちがそのまんま、「あるがまま」で育っていくことを大事にしたいと思っています。

「子どもたちは大人に指示や規制をされなくても、自分で学び、成長することができる」を理念に運営している。

サドベリースクール アルママ
住 所 〒116-0002東京都荒川区荒川1−57−6
日 時 月〜金10:00〜16:00
利用料 入学金10,000円/人 週1回利用 30,000円/月〜
※東京都の助成金と荒川区の補助金が活用できる可能性があります。
問合せ 090-9373-5337

金子(A)

 

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不登校インタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』Vol.11

学校へ行かずにいると、将来どうなるの?
学校に行かなくてほんとうに大丈夫なの?

もちろん、そこに正解なんてありません。
世の中の多くのものごとと同じように。

でも、
いろんな例を見聞きし、知ることができれば、
不安を和らげるのに役立つのではないか。

そんな思いから
自らも息子の不登校を体験した親である
びーんずネットの二人が、不登校をテーマに
インタビュー事例集を作成しました。

不登校・ひきこもりを経験した人。
その保護者。
子どもたちに寄り添う人。
そして自分の学びを実践した人。

そんな七人七色の「雲と青空」を、
丹念に取材してまとめました。

雲を抜けた先には、
いつも青空が広がっている――。

ぜひ、ページを繰って、
あなた自身でそれを確かめてみてください。

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