子どもたちを100%認めること

びーんずメイトVol.42
フリースクール未来
安部映樹さん

長野県長野市川中島町に2024年に開設した
「フリースクール未来」。

JR川中島駅前の3つの学習塾をベースに、
フリースクールと通信制高校が
同居する形で運営されています。

生徒と地域の人たちがつながる
カフェやマルシェ、
「川中島駅前文化祭」の開催など、
積極的に世代間・地域交流を進めている
代表の安部映樹さんにうかがいました。

「信州型フリースクール認定制度」学習支援型認定第1号を取得。

――安部さんが「フリースクール未来」を始めた経緯を教えてください。

2018年にまず小中学生の塾「学び舎かなえ」をつくったんです。そうしたら1年で生徒が100人を超えて校舎に入りきれなくなったのと、高校生になっても通いたいという声があったので、2年目に高校生専用の塾をつくって。それでもまだ生徒が増えて、3年目に中学3年生専用の三校舎目を借りたんですよ。そして4年目に通信制の「川中島高等学園」、五年目に「フリースクール未来」を始めたんです。

――フリースクールも要望に応えて?

うちの塾に来ていた子が、担任と合わなくて、学校に行かなくなってね。塾で「もうイヤだ」って泣いててさ。ある日「死にたい」って言ったんだよ。それを聞いて「じゃあ明日から来れる? フリースクールやるよ」っていうのがきっかけだね。

駅前の三校舎は歩いて一、二分の範囲だし、昼間はどこでも好きなところにいていいから、フリースクールの子も通信の子もごちゃ混ぜ。基本的に学校に行かない時期があった子たちだから、気持ちが通じ合う。中学生と高校生がそんなふうにすぐ仲良くなるのがとってもいいなと思って。

フリースクール未来 代表・安部映樹さん

自分が行きたかった場所をつくっている

――以前は中学校の先生でいらした、と。

信州大学を出て公立中学で6年間。1年生から3年生の担任を持って卒業生を二度出しました。ただ俺自身、中学1年、2年のときは学校行ってないからね。もう教室にいるのがイヤで。きちっとした教室の雰囲気とかね。一番イヤだったのは体育。「前にならえ」「右向け右」、ああいう軍隊みたいなことがもうイヤでイヤで。あのころは木造校舎で屋根裏があったんだけど、ずっとそこに隠れていて。だから「こういうところだったら俺も行ったよな」という場所を今、つくっているつもりなんですよ。

――教室が苦手で、でも先生になられた。

あのね、両親が教員だったの。小さいころから教員になるもんだと思い込んでた節があって。まあでも、子どもは好きでした。

子どもといる時間は楽しいんだけど、とにかく校長と毎日のようにケンカしてさ。「安部先生、ジーンズはやめてください」から始まるわけだ。「ジャージを履け」って。ジャージ? そんなことでケンカばっかり。でも辞めた一番の理由は、諸先輩を見てもかっこいい先輩がいなかったから。くたびれたオヤジにはなりたくなくて。

それで仲間と出版社を立ち上げたんだけど、当時はまだ長野県のタウン誌がなかったから、もう売れに売れてね。別冊もたくさん、年間最大で60冊出したかな。

ただその後、フリーペーパーが出て、インターネットで誰でも情報が取れるようになって。とどめはスマホ。この三つで本がまったく売れなくなった。もう出版は無理だからどうしようか考えて。「やっぱり俺、子どもが好きだからそこに戻ろう」と。それで塾から始めたということです。

学習支援にはICT教材を導入。行政や学校の協力を得て学校の定期テストが施設内で受けられる。市内中学校の成績認定も実現。

――今こうして塾と通信制高校、フリースクールを運営される中で、安部さんが一番大切にしていることはなんですか?

フリースクールに特化して言うと、子どもを100%認めること。それだけかな。肯定する、何も言わない。

親には言いますけどね、諭すというか。俺の前では悲しい顔してもいいけど、子どもの前でその顔はしちゃダメだって。一番大好きなお母さんが悲しんでいるのって、子どもにはすごいつらいことだから。

俺、不登校っていう言葉が大嫌いなんだよ。学校に行く選択をした子、学校に行かない選択をした子、どっちもイーブンだと思ってるから。好きなほうを選べばいい。

うちに来た子、みんな変わるよ。生き生きしていて、すごくいい。パワフルで。

普通に元気のいい、明るい子どもたち

毎年11月には「フリースクール未来」の中学生と「川中島高等学園」の高校生が企画運営する「川中島駅前文化祭」を開催する。

たとえば半年前から来ている中2の男の子。お母さんが「すごく特性があって、なじむ場所がない」って言っているから、どんな子かなと思ったら、めちゃくちゃいい子でさ。うちはカフェもやっていて、そこで月に2、3回「歌声喫茶」をやってるんだけど、彼が初めて来た日がちょうど歌声の日で、誘ってみたら「行きます」って。いきなり近所の知らないお年寄り30人ぐらいの中に入って、一緒に歌いだして。

「川中島駅前文化祭」でも彼、ステージに立ってね。初めて人前で歌って、かっこよかったな。学校の担任の先生も見に来てくれたけど、腰を抜かしてたよ(笑)。

その日は寒くて初雪が降ったんだけど、そんな悪天候でも六七七人も来てくれたからね。みんな毎年楽しみにしてくれてる。

――地域の一大イベントなんですね。

その文化祭もステージ担当、屋台担当、展示販売担当とか、運営はみんな子どもたちだからね。

うちのフリースクールの子たちを地域の人たちが見て、学校に行ってないからどうだとか、何も感じてないと思うよ。普通に元気のいい、明るい子どもたちに見えるだけだと思うね。

「学校に行くことが全てではない。人生の楽しさ、大人になるワクワク感を知ってほしい」と阿部さんは願っている。

フリースクール未来 川中島校

住 所 長野県長野市川中島町上氷鉋1345
日 時 平日 10:30-14:30
入会金 33,000円
利用料 33,000円/月
対象 小学生から高校生
問合せ 026-286-5770 study@kawanakajima.school
※川中島校の他にも須坂、松代、篠ノ井、佐久の5校から選択可

金子(A)

 

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不登校インタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』Vol.11

学校へ行かずにいると、将来どうなるの?
学校に行かなくてほんとうに大丈夫なの?

もちろん、そこに正解なんてありません。
世の中の多くのものごとと同じように。

でも、
いろんな例を見聞きし、知ることができれば、
不安を和らげるのに役立つのではないか。

そんな思いから
自らも息子の不登校を体験した親である
びーんずネットの二人が、不登校をテーマに
インタビュー事例集を作成しました。

不登校・ひきこもりを経験した人。
その保護者。
子どもたちに寄り添う人。
そして自分の学びを実践した人。

そんな七人七色の「雲と青空」を、
丹念に取材してまとめました。

雲を抜けた先には、
いつも青空が広がっている――。

ぜひ、ページを繰って、
あなた自身でそれを確かめてみてください。

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