お母さんがニコニコご機嫌でいてほしい

びーんずメイトVol.35
トコトコくらぶ
青木育子さん

兵庫県西宮市の不登校の子どもと
親の居場所「トコトコくらぶ」。

親が互いに悩みを打ち明けあうかたわらで、
子どもたちは好きなことをしながら
自由に過ごす。そんなあたたかで安全な
地域のピアサポートの居場所を運営している
代表の青木育子さんにお話をうかがいました。

子どもたちは手前、親たちは奥で、それぞれ自由に過ごす。

――トコトコくらぶは不登校のお子さんと親御さんの居場所だそうですね。

そうです。お母さんが相談に来られて、お子さんも一緒に仲良くって感じですね。

毎週金曜日と土曜日の10時から12時まで開けています。予約なし・連絡なしでOKで「いつでもどうぞ」って。これはトコトコくらぶを立ち上げた元代表の田中あきよさんの当初からの思いなんです。

――青木さんが代表を引き継がれたのは?

代表になったのは2018年ですが、私がトコトコくらぶに行くようになったのは8年前で。ドラッグストアのお薬コーナーで店員さんに紹介されたんです(笑)。

不登校の子どもと親の居場所 トコトコくらぶ代表・青木育子さん

子どもの体調が悪くて、朝起きられないとか、頭が痛くてフラフラするとか――振り返れば起立性調節障害だと思うんですけど、そのときは知らなかったので。頭痛薬でも市販の薬じゃきかないだろうと思って白衣を着た店員さんに相談したんです。「頭が痛くて、学校にも行けてなくて、心がしんどいのもあって……」って。

その店員さんが「学校に行けてない」に反応してくれて、その場でトコトコくらぶに電話してくれたんです。「金曜日の午前中ならいつでも来ていいですよ」って言われたので、予約もなしで突然行きました。 もう藁にもすがる思いでしたね。

情報をほしがってる人はたくさんいる

――今は教育委員会とも連携ができつつあるとうかがっています。

一方でなかなか情報が届いてない感じもあって、それは課題ですね。

困ってるお母さんたちにパンフレットや居場所の一覧表を届けたいということは、ずっとお伝えしています。

ただ行政側や先生方からすると、不登校の子の親御さんが傷つくことがあるのでは、と言うんです。「うちはまだ不登校じゃありませんから。こんな資料、渡さないでください」って言われたことがあると。「だから保護者にはお渡しできません」ということなんですけど、それは言い方もあるし、もう少し工夫してもらえたらと。

情報をほしがってるお母さんはたくさんいらっしゃるんです。スタッフみんなでいつも言ってるのは、子どもが不登校になってから渡すのではなくて、年度始めに全児童生徒に全校配布してくれたらいいのになあと。相談できる場所はいろいろあるので、お友達のお子さんとか、近所のお子さんとか、ご自分のお孫さんが不登校になったときも、周りの人が「こんなところあるよ」ってスムーズに紹介できると思うので。

市内の他団体と協力して情報発信も積極的に行っている。写真右は西宮市内の不登校児童生徒の支援先をまとめた一覧表。

決して否定しない、責めない

不登校は問題ではないし、子どもが悪いわけではないし、お母さんの子育てが悪かったわけでもない。学校や先生たちが悪いわけでもない。

学校システムがおかしいから、みんながしんどい。それを子どもたちが命を削って教えてくれてるんだから、もっと大人がそれを真摯に受けとめて、耳を傾けて、変えていかなきゃいけないと思うんです。

不登校をテーマにしたイベントも定期的に開催している。2023年11月開催の「明日はもっと笑顔になれる」で。

ただ最初にお母さんがここへ来られると、みんな自分を責めてる方ばかりなんです。「あのとき私がこうしたらよかったかな、ああしたらよかったかな」とか。

私がすごく気をつけているのは、決して否定しないことです。責めない。まずは子どもに対してはもう「そっか、そっか、そうなんだね」って聞く。それはお母さんに対しても同じです。

びーんずネットさんが言ってるように「まず親が幸せになる」――私、受け売りばかりなんですけど(笑)。お母さんが楽しいことをして、いつもニコニコご機嫌でいるのがいいと思います。子どもはお母さんが泣いて辛い思いをしてるのを「自分のせいや」と思って自分を責めているので。

お母さんがご機嫌で笑顔でいると、子どももホッとして、「あ、自分はここにいてもいいんだ、お母さんはこんな自分でも好きでいてくれるんだ」となる。そっちのほうが大事ですよっていうお話をしますね。

――それを聞いたお母さんも、ホッとされるでしょうね。

……なんですけど、やっぱりみなさん、グルグル思考が回ってしまいますね。上がったり下がったり、行ったり来たり。

それは子どもを愛してるからこそ、一生懸命なお母さんだからこそなので、自分で自分を抱きしめてあげたらいいと思うんです。そして、モヤモヤ、イライラ、鬱うつを決して一人で抱え込まず、お話しに来てほしいです。

一応、時間は12時までなんですけど、話し足りない方とはお昼ご飯を食べることもあります。おにぎりとか簡単なものですけど、一緒に食べると和むというか、より話しやすい感じもありますからね。

「家から一歩、トコトコと歩き出そう」との思いから10年前に始まった居場所。いつもあたたかな空気に包まれている。

思えばもっと私も「助けて」を言えばよかった。今はトコトコに来られるお母さんたちには、「担任の先生と話があわなくても、学年主任の先生とか教頭先生とか校長先生とか、わかってくれる先生がどこかにいるのであきらめずに相談してみてくださいね」ってアドバイスしています。同じような悩みを抱えていたからこそ、それをお伝えしているというか、悩んでいるお母さんの手助けになれたらなと思っています。

不登校の子どもと親の居場所
トコトコくらぶ
住 所:兵庫県西宮市樋ノ口町1丁目11-12ラフォーレ武庫川105号室
日 時:毎週金・土曜日10時~12時(土曜日はZOOMでの参加も可能)
申 込:不要
利用料;無料
問合せ:tokotokokurabu2@gmail.com

金子(A)

 

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不登校インタビュー事例集『雲の向こうはいつも青空』Vol.11

学校へ行かずにいると、将来どうなるの?
学校に行かなくてほんとうに大丈夫なの?

もちろん、そこに正解なんてありません。
世の中の多くのものごとと同じように。

でも、
いろんな例を見聞きし、知ることができれば、
不安を和らげるのに役立つのではないか。

そんな思いから
自らも息子の不登校を体験した親である
びーんずネットの二人が、不登校をテーマに
インタビュー事例集を作成しました。

不登校・ひきこもりを経験した人。
その保護者。
子どもたちに寄り添う人。
そして自分の学びを実践した人。

そんな七人七色の「雲と青空」を、
丹念に取材してまとめました。

雲を抜けた先には、
いつも青空が広がっている――。

ぜひ、ページを繰って、
あなた自身でそれを確かめてみてください。

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