おうちでも学校でもない、三番目の場所

森合さん写真

地域でキラリ☆な人を取材!
びーんずメイトVol.3「坂上広場あそび基地」
くれよん 森合牧子さん、杉村京子さん

神奈川県川崎市高津区のグループホーム
「花物語たかつの丘」の地域交流室で、
毎週月曜日に開かれている
坂上広場あそび基地。

「放課後、自宅に近所の子ども達が
溜まってしまって困っている…」。

同じマンションに住む人から
相談を受けたことが、くれよん代表の
森合さんが地域の子どもの居場所作りに
関わるようになったきっかけでした。

坂上広場あそび基地

――「あそび基地」の前身は市営住宅の集会室を借りた「宿題とかやろうの会」だったそうですね。こちらに場所を移したのはどんな経緯からですか?

森合さん 管理人さんを通じて「集会室を子どもの遊び場という用途では使ってほしくない」と言われちゃったんです。「遊び場を作るのは行政がやることでしょ」と。

続けるのが結構大変だったのもあって、もうやめようかと思っていたときに、ある保健師さんにこのグループホームの交流室を紹介してもらえたんです。

放課後の居場所、という問題提起

森合さん いい場所だし、無料だし、ありがたいお話なんですが、いざ始めようとしたら今度は「子どもが怪我したらどうするんですか?」という指摘もあって…。

そのためには保険をかける必要がある。でもそれにはお金がかかる。で、いい加減めんどくさくなってその保健師さんに報告したら、「じゃあ助成金申請しますか?」って。仮に申請が通らなかったとしても問題提起にはなると言われて、「うん、問題提起、大事なことだよね!」と。

――そして無事、助成金(※)が出たんですね。※公益財団法人かわさき市民活動センターの「かわさき市民公益活動助成金」

森合さん 外堀を埋められて(笑)。やらない理由がなくなってしまいました。

実際にここで私たちが「あそび基地」をやっていることで、どれだけの子が「受益」しているのかというと、数としてはそんなに多くはないと思うんです。

だけどこういう場所がないと、ここに来ている子たちは誰かのおうちに確実に溜まることになると思うんです。杉村さんのお宅もそうだったんですよ。

杉村しゃん写真

スタッフの杉村京子さん

杉村さん うちの子が不登校だった時期があって。お友達が来てくれるのは子どものためにいいかな、って最初は温かく見ていたんですけど、中には度が過ぎてしまう子もいて…。いいタイミングで森合さんに声をかけてもらって、自分の子たちの遊び場所としてもいいし、私も協力しようと。

――坂上広場あそび基地と学童保育との違いはなんでしょうか?

森合さん 子どもたちが自分の意志で来られるっていうことですかね。

杉村さん 学童にはあんまり行きたくないっていう子は結構いるんですよね。もちろん合う子はいいんですが、相性なんかもありますし。

森合さん 私たちのやり方が正解だと言いたいわけではないんです。でも学校がある、学童がある、だからそれでOKっていうわけでもない、と思います。おうちのリビングの延長みたいな、「おかえり」って言える場所もあればいいなって。

――子どもが選べる遊び場がもっとあるといい、ということですよね。

運営する中で感じるジレンマ

森合さん でも突き詰めていくといろいろ難しい部分もあります。何かあったらどうしよう? 責任重大だなあ、と。

ここでは毎回いろいろなことがあります。そうすると、運営側としてはどんどんルールを作りたくなるんですよ。ルールで全部縛ってしまった方が安心、っていうふうに。スタッフ間でもそういう気持ちがぐぐーって強くなってくるのがわかります。

――今はルールはあるんですか?

森合さん 「外みたいな遊び方はなしね」っていう話にはなっているんです。室内だし走るのはなしねって。

でも、どうしても元気な子は走っちゃうし、そうなると危ないんです。小さい子に当たったらどうしようって。

「ぜったいに走らない、走ったら退場だよ」って厳しくするべきっていう意見。でもそれをやっちゃうとこういう場をやる意味があるの? っていう意見。スタッフそれぞれの中に、両方あると思うんですよ。

――そこのせめぎ合いは…

森合さん きっとこれからも、なくなることはないと思います。

「管理されない時間」も必要

森合さん 学校も学童も、子どもたちにとっては「管理される時間」なんですよ。管理されない時間も時には必要なんじゃないかなって思います。おうちでもなく、学校でもない、「三番目の場所」。

そこに大人がいるという意味も、私はあると思っていて…。口出ししない大人がいるということで、本当に困ったことになったらそのときには助けてもあげられるし。

基本は地域の子たちを自分の子として育てたいということなんです。自分の子だけがハッピーで、他の子は全然ハッピーじゃない。それでいいわけがない。自分の子も地域の子もみんながハッピーでいてほしい。その延長線上です。

だからそういう意味ではまるごといかないと。そんな理想を描いております(笑)。

お絵描き写真

取材日はあいにくの雨模様で、いつも10人くらいの子どもでワイガヤの基地も静かめ。女の子がお絵描きにいそしんでいました。

坂上広場あそび基地
・開催日:毎週月曜日開催15:00〜17:00
(祝日・夏休み・冬休み・春休みはお休み)
・参加費:無料(ワークショップは有料)
・利用対象:小学生以上
(未就学児は保護者同伴で利用可)
・場所:花物語たかつの丘 地域交流室
・住所:川崎市高津区久末1495−1
・連絡先: sakauehiroba@gmail.com

金子(A)

 

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『もう不登校で悩まない! おはなしワクチン』『「とりあえずビール。」で、不登校を解決する』に続いて蓑田雅之さんの3冊目となる書籍です。
不登校・ひきこもりを題材にしたある家族の物語で、小説の形で描かれています。

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